「電力網の再発明」を狙う、少壮の天才女性科学者:ダニエル・フォン

http://wired.jp/2012/07/05/danielle-fong/

ライトセイル・エナジー共同創業者のダニエル・フォンが12歳になったとき、母親のトゥルーディ・フォンは娘を直接大学に進ませたいと考えた。

ダニエルは高校卒業生を対象にした学業適性試験でも、すでに上位1%に入る結果を出していた。しかし、担任の教師は「ダニエルをまずはハイスクールに入れたほうがいい」「直接大学に行かせたら、彼女の教育が台無しになる」として母親の考えに反対。それでも、結局ダニエルは直接大学に進むことになった。自分も15歳で大学に入学した母親のトゥルーディは、この当時のことを振り返って、こう説明している。「自分の子どもを、あと6年もくだらない環境に置かなくてはならない理由は何だろう」「自分の子どもが嫌な目に遭うような世界──頭がきれることがかえっていじめられる原因になるような世界に、彼女を進ませたりはしなかった」

その後、ダニエルはカナダのダルハウジー大学を卒業し、17歳でプリンストン大学大学院に進むと、プラズマ物理研究室で博士課程の勉強を始めたが、結局ここを中退することに(学術研究の世界も小学校と同じようにつまらないと思ったのが理由)。そして20歳の時にライトセイル・エナジー(以下、ライトセイル)というヴェンチャー企業を知人と創業し、現在は同社の主席科学者(Chief Scientist)として働いている。

カリフォルニア州バークレイにあるこの小さなヴェンチャー企業は、ダニエルの教育にも劣らないほど型破りなアイデアを実現するために立ち上げられた。そのアイデアとは、世界中の余剰エネルギーを圧縮空気にして巨大なタンクに保存する、というもの。この蓄電用タンクを風力発電太陽光発電装置に接続し、生み出されたエネルギーを電力がもっとも必要とされる時に備え、蓄えておけるようにする──ライトセイルではそんな雨水の貯水タンクにも似た蓄電装置の開発と普及を目指している。

主要な再生可能エネルギー源とされる風力発電太陽光発電にも、発電量が一定しないという弱点がある。しかし、ライトセイルが実現を目指す圧縮空気タンクが使えるようになれば、こうした弱点も解決され、電力系統(送配電網)はいまよりずっと効率的なものになる。そして、それが最終的には世界をもっと環境に優しい場所に変えることにつながる。ダニエルやライトセイルの仲間はそう説明する。