大杉漣の逝去に寄せて

大杉漣逝去に寄せて

出身県にあるクラブが降格した。長年 J1 で戦ってきたがついに降格となった。ある程度の強さはあったのだが一度崩壊したチームは立て直せなったらしい。そこそこ強いのなら応援する必要ないなとそれまではずっと無関心だったのだが、地元ではこの降格が深刻なニュースだったらしく、自分自身もなんだか心配になり RSSドメサカブログを突っ込んで一応気にかけるようになった。幸いにもクラブは昇格した。J2 での戦いは、今にして思えば熾烈だとか過酷だとか、そんな言葉では言い表せられないほど大変なものだったが、昇格を勝ち取った。しかし昇格という出来事も、自分にとってはニュース活字をたまに追いかける程度の関わりだった。試合結果の記事をまったく読まない日もあった。相手チームがどれくらいの強さかも分からなかったし、クラブスタメンも誰だか知らなかった。現在勝ち点も気にしてなかった。記事タイトルで勝った負けただけを目に入れるのみで、恥ずかしいことに1シーズンで何試合リーグ戦を行うのかも知らなかった。本当に漠然とした情報を流し見るだけだった。

ある時ふと、YouTube に投稿された試合ハイライト動画再生した。正直それまでは試合映像ほとんど見たことがなく、サポでもなければファンと呼べる存在でもなかった。その試合は目を見張るような大勝をしたゲームだったのだが、様子を見てみようと再生したたかだか数分の映像に釘付けになってしまった。大量得点なのだからそりゃ楽しいのは当たり前だが、これをきっかけに過去ハイライト映像を片っ端から漁ってみた。これが本当に面白いのなんの。何が良いかって、試合ごとにチームが少しずつ成長、成熟していくのが素人にも分かるのが面白い。ゴールを決めた選手名前と顔はすぐに覚えたが、ベンチ外の選手含め所属選手全ての顔を覚えるのに時間はかからなかった。調べていくと Jリーグの雑多な知識が増えていく。クラブ過去歴史なども興味深かった。監督選手名前検索をかけ、過去インタビューも片っ端から読み漁ったが、やはり一番面白いのは、サッカーにおける「成長」の要素だった。戦術のことは理解できないが、ずっと映像を見ていると選手ひとりひとりが少しずつ進化しているのが分かる。そして複数人選手、個々人の成長がやがて連携として機能し、結果として勝ちにつながるのが実に痛快だった。

これは確かに継続して追いかける価値があると思った。試合のない平日は常に頭のどこかで次節のことを気にかけてしまうという話もよく理解できた。新加入する見たことも聞いたこともない謎ブラジル人への期待と不安理解できた。新卒選手公式戦初出場した際の無垢応援理解できた。主力選手の怪我による離脱がどれほど重苦しい出来事理解できた。くすぶってる若手への温かい期待が理解できた。成長の著しいまさにこれからだという選手に限って前十字靭帯断裂する悲しみの強烈さが理解できた。応援しているクラブ選手代表に推薦する気持ち理解できた。代表に選出されるということがいかに高い壁である理解できた。他にも、クラブ所属している選手不要選手などひとりもいないということも。

そしてなにより、大杉漣がなぜ多忙な日々の合間を縫ってまでサッカー観戦をするのか心から理解できた。

大杉漣の言う「心に届く試合」の意味も。流れるように繋がったパスに興奮した。華麗なテクニックよりも、がむしゃらにボールを追いかける姿に目が離せなくなった。ボールに、相手に、必至に食らい付く光景に心が揺さぶられた。

今やほとんどの都道府県に Jリーグクラブがある。Jリーグ空白県でも、4部相当の JFL なら Fresh で配信してる。地域リーグから Jリーグ参入を目指すクラブもまだたくさんある。クラブの SNS をフォローするだけでもいい。ほんのわずかでもいいから、地元サッカークラブの様子を知ってくれたら嬉しい。YouTube でハイライト見てくれるならさらにいい。DAZN の加入、スタジアム観戦に興味をもってくれたら最高だ。サッカーを観てくれ。気にかけてくれるだけでもいいから。